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説明文

もう3年になる。天上に戻れ無くなってから。ここまでになると、天上の天使奉名帳から俺の名前は消えているな。今頃はカブリエル辺りが幅を利かしているのか…。降りて来てから一年目は、翼が使えなくなったとはいえ、天主様との会話は難なく出来ていたのだが、今やjkのLINE程度の内容に劣化していた。「まじ卍」とか返事が帰って来たら、もうすでに回線が混線しているか、意図的な工作としか思えない。俺は元からガブのことは信用していない。だが、天主様が考えてられることに異を唱える気は無い。今まさに、天主様が思われるままの世界が、天上天下にそのまま投影されている。天使は、それを神の恩寵として選ばれた人に伝え、その中での使命を与える役割を担っている。俺もそのために降りて来たのだが、降りている年月が経つにつれ天使の能力が劣化するとは思わなかった。今や日々翼の羽根をむしりお札に変え、スーバーのレジ付近に並んでいる品に手を出すのに、恥じらいながらカゴに入れている始末。一体、俺が恩寵を伝える人間は何故隠されたままなのか。その問題は俺故なのか、その人間故なのか判然としない。ただ、当初の予定では、この街に住む人間であることは間違いないはずだ。だから、俺はこの有名なクラブのDJとして、来る観衆からの感応を受けて応答を送っているのだ。だが、恩寵を伝えるべき相手の反応はないまま、俺の能力は劣化している。今やDJミキサーとパワーアンプ無しではこの能力は最大に発揮出来ない。なのに天主様は俺を召還、または応援をよこす気配もない。いや、もうすでに来ているのかもしれない。俺が気付いていないだけなのかもしれない。劣化してっから。そんなんで俺、必死に前向いて生きてたら、何故か振り替えると、劣情に溢れた都条例に思いっ切り引っ掛かる女子にストーカーされていた件。
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