遠吠え 冷たい牢獄の中で独り片目の少年が 起き上がる 切れた口を拭って苦い血を何度も 吐き出した 城に少年を突き出した狩人は僅かな 報酬に舌打ち森を睨み 「価値のないクズめ!」と唾を吐く 鎖に繋がれ囚われてる少年の心を 支えてたのは 月夜に響く遠吠えが君の声だと 知っていたから 二年の月日が過ぎ去った 少年はようやく解放されひからびた 細い身体を引きずるように裸足で 歩く まるで化け物を見るような 冷たい視線が突き刺さる 少年はただひたすら深い森へと足を 進めた ふたり過ごした 思い出の湖に気づけば辿り 着いたけど やさしい光の雫が痩せた僕を 映すだけだった 堪えきれず君の名を 叫ぶ…しわがれた声…ふらついて 転びながら… まるで遠吠えのように響く…泣き 声が…