濡れた靴に気づいて 傘をさした ビニール傘の影は 独りぼっちで揺れている 並んで歩いた交差点の あの店が滲んでぼやけた あぁライトが眩しい 赤いランプにふと 足を止めて 怖くなったんだ ゆらり一歩踏み出しそうになった 握りしめた思いが 爪痕になっている あぁダメだって言い聞かせた 鈍いエンジンの音 壊れたイヤフォンをつけたまま 遠くのサイレンに耳をすませる 行き先は夢の中 あぁ揃わないままのパズル 橋に空いた穴 ちっぽけだ でも苦しくて探し回った あぁ揃わないままの思いで 駆け抜けてきた だからかな 無くし物が多すぎて 寂しいや 乾いた靴に気づいて 傘を閉じた 街を映す鏡を つついて崩してみるけど 変わらない 誰かの笑う声が棘になって刺さる あぁダメだって 音楽をかけた 居場所が身体を固めていく 流されて心が消えていく 誰かの何かになりたかったのに 何物でもない私 あぁ揃わないままのパズル 橋に空いた穴 ちっぽけだ でも苦しくて探し回った あぁ揃わないままの思いで 駆け抜けてきた だけどもう 無くし物はそのままで お湯に浸かろう