色の褪せた写真を アルバムにしまうように。 私たちも、きっと、 思い出になるから。 口に出した言葉も、 口に出せない言葉も。 記憶の中で息をするの。 胸を焦がす痛みも、 熱を帯びる瞳も。 不思議なくらい、ずっと、 覚えているように。 期待出来ない約束も、 くしゃりと笑う顔も。 記憶の中で息をするの。 私が大人になって、 この町を抜け出しても。 なんでかな。 あなたが側にいる気がして。 子どもみたいな我儘も構わず 言えるのなら。 もう一度、触れられたら。 二人の影が遠く離れていく。 風が吹いてあなたを攫っていく。 匂いが、声が、 水に溶けてしまう前に。 少しだけ、 歩いてみようと思うんだ。