街はもう眠る中 信号のない交差点 金木犀と洗剤は 混じりあって漂う 部屋の窓から漏れた灯り 辿りながら暮らす日々 誰も知る由などない… 君は今どこにいる? わずかな手がかりを 頼りにフラフラ彷徨う日々 取り残されたことに 気付かぬまま 真夜中の街 忍ばせる足 探し歩くはしあわせ 緊張するのは日常 ひっそりと暮らすだけ 私は東京タヌキ 足元から眺めた景色は いつも不思議で 張り詰めた空気が 解けることはなく この夜を独り占め させない まるで危ない儚い 恋人のように 真夜中の街 潜める吐息 隙間風は冷たくて 不束な私は今日も 足音を立てぬよう 真夜中の街 忍ばせる足 探し歩くはしあわせ 緊張するのは日常 ひっそりと暮らすだけ 私は名もなきタヌキ